香港のホテルで夜中に幻聴が聞こえてきた話

インドで銃口をつきつけられた記事の最後に少し書きましたが、私はこれまで一度だけ幻聴？の経験があります。

場所は香港のホテルの部屋でした。

そのホテルは私が事前に日本から予約していたホテルではなく、ダブルブッキングのため紹介された別のホテルでした。

場所は西湾河という駅が最寄り駅です。

到着日は夜便でかなり遅かったので、ホテル側がもう来ないと思って別の客を泊めてしまったようです。三泊の予定でしたし夜間ということもあり焦りましたが、フロントのお婆さんが明らかに私よりも流暢な英語で「付いて来い」と言い、やはり別のお婆さんがフロントにいるホテルに案内されました。

週末のためか、ホテルの前はそこそこ人通りがありました。

さて、そのホテルは一階の入口に警備員？のやや高齢の男性がいて、宿泊客だと告げるとドアをアンロックしてくれる仕組みでした。

そしてドアの前にあるエレベーターを使って部屋まで行きます。部屋があるフロアーは四部屋ぐらいあり、エレベーターの前は薄暗いスペースがありました。交通の便が良い所でしたが、安宿だったので不満はありませんでした。

しばらくして気付いたのですが、その建物は二階か三階にホテルだけではなく、ブティックも入っていました。

人生で初めて幻聴が聞こえる、しかも香港のホテルで

宿泊して二日目の深夜でした。

私はいつものようにその日の旅日記を書き終え、眠りについていました。

「ザワザワザワ・・・」

いつしか雑踏からのザワザワという音が聞こえてきました。車のクラクション音も聞こえます。腕時計を見るともう深夜です。

「こんな時間に何だ？」

昨日の到着時も若者が遅くまで通りを歩いている姿を見かけていたので、賑やかな所に泊まってしまったなあと思っていました。

けっこうな騒音が室内まで聞こえています。眠れなくなった私は窓を開け、通りを見下ろしました。通りはオレンジ色の街灯に照らし出されています。

「・・・あれ？」

そこには予想に反し、人っ子一人いません。首を伸ばして大通りの方を見ましたが、そちらにも人の姿は見えません。

よく考えてみたら今日は月曜日です。週末の夜を楽しんでいた若者の姿はもう見られません。

「おかしいなあ」

完全に私は寝ぼけていたのでしょう。隣人を起こさないようドアをそうっと閉め、ベッドに潜り込み、再び眠りにつこうとまぶたを閉じました。

しかしその瞬間、再びあのザワザワとしたざわめきやクラクション音が聞こえてきたのです。

「ザワザワザワ・・・」

「！？」

勘違いではありません。確かに聞こえてくるのです。私は閉じたまぶたを瞬時に開けました。するとその瞬間、ざわめきは聞こえなくなりました。

サアッと恐怖心が私を包み込みました。これってまさかの！

私はそういった経験がなく、全く信じてこなかったのですが、さすがにこのときばかりは恐ろしくなりました。しかも異国の地で一人で泊っているのです。

試しにもう一度ベッドの上で目を閉じてみました。

「ザワザワザワ・・・」

やはりざわめきが聞こえてきます。

これは来たぞ！

私はベッドから飛び起き、部屋中の電気を点けました。何もいません。何も見えません。天井も見上げましたが何もありません。

危険なホテルの部屋にはお札が貼ってある、というのを聞いたことがあったのですが、どこにもそんな物はありません。

こんな時間にホテルの従業員に「窓の外が騒がしくて眠れない」と起こしに行ったら何と言われるでしょう。きっとおかしな日本人を泊めてしまったと眉をひそめられてしまうことは間違いありません。明日には別の宿泊客が来るから出て行ってくれと言われてしまうでしょう。

このブログを読んでいる方は何を大袈裟な、と思うかもしれませんが、当時の私はとても平常心でいられなくなっていました。

そして思い出したのが御数珠です。誰もが知っている仏具です。今回祖母が私が旅行に行く前に持って行けと渡してくれた物です。それがカバンの一番下に入っていることを思い出しました。すぐに取り出すと共に、祖父母が毎日唱えていたお経を、うろ覚えではありますが必死に思い出してお経を唱え始めました。

しばらく唱えた後、恐る恐る目を閉じてみると、もうあのざわめきは聞こえてきませんでした。

それ以降は幻聴聞こえず

きっと私が寝ぼけていたための幻聴だった、と思います。多分ですが。それ以降は幻聴は聞こえていません。そのホテルは安かったためもう一泊しましたが、何も聞こえてきませんでした。

ちなみに翌日はマカオへ出かけ、観光客など来ない地元の室内スケートリンク場で、現地の小学生？に混じって下手なスケートを楽しんできました。

香港旅行（2004年）の思い出：

こんな記事も書きました。

インド旅行中に銃口を突きつけられ身体が本当に硬直したが、ＶＲでもそうなるのか？