交通事故を目撃しました。やって来た警察官に状況を話したところ、後日、検察官にまで呼ばれた話です。
その日の仕事帰り、いつもとは違う道をたどって帰宅しようとしていました。
私、ときおり最寄り駅の二駅前で降りてウォーキングすることがあります。健康にもいいし、気分転換にも良いです。
交通事故を目撃する
さて、交差点で信号待ちをしていると、私の右後方から車が交差点にスーッと出ていくのが見えました。
「あれ、信号変わったんだっけ?」
いや、変わっていません。まだ赤信号です。
その車はゆっくりとしたスピードで交差点に進入すると、案の定、左方向から走ってきた2台の車のうち、後方の車の側面に突っ込みました。
突っ込まれた車は斜めに押し出されるように歩道に乗り上げていき、歩道のさらに奥に停まっていた車にぶつかって停まりました。
その衝撃音を聞いたのでしょう。近くのコンビニから客や店員が出てきました。元々信号待ちをしていた人も集まってきて、10人ぐらいが車を取り囲むように様子を眺め始めました。私はコンビニの店員に救急要請を依頼しました。
再び車を見ると、衝突された車の下部から何かの液体が流れ始めていました。追突した車と衝突された車の運転手はもう降りているようです。
まさか爆発はしないよなあとやや遠巻きに眺めていると救急車がやって来て、そのすぐ後にパトカーもやって来ました。救急車には追突された女性が乗せられ、警察官は追突した男性に事情を聞き始めました。
「…さて、帰るか」と思っていたところ、追突した男性が警察官に、「信号無視した車と追突しました」と嘘の証言をしているのが聞こえてきました。
おいおい、追突したのはそっちだろう。
私は即座に警察官にその男性の証言が虚偽であることを伝えました。すると警察官は後日現場検証に立ち会ってもらいたいと言い、私は了承して電話番号を伝えました。
帰宅するとすぐに状況をメモ残すことにしました。地図も記し、私の他にどこにどんな人がいたのか、追突された車の前にもう一台車が走っておりその車と衝突する可能性もあったこと、直前にクロネコヤマトの車が通り過ぎたことなど関係なさそうなことまで含めて詳細にメモを作っておきました。
警察官の現場検証立ち会いを終え警察署へ行く
帰宅後、警察官から電話がありました。平日は仕事を抜けられなかったため、土曜日に現場に行くことになりました。
現場に着くと、バンタイプのパトカーが停まっており、(確か)3人の警察官に当時見た状況を伝えていきました。そこには交通事故の当事者たちはいませんでした。
現場検証が終わると、
「申し訳ないのですが警察署まで来ていただき、報告書作成にご協力ください」
とのことだったので、もちろんいいですよと一緒にパトカーに乗りました。
警察署に向かう途中、パトカーの隣の車が信号で停止線を大幅にはみ出して停まり、警察官たちが「おっ」と声を上げて視線を向ける中、その車がゆっくりとバックして停止線ぴったりに停まったのを見たときは何故だか私も緊張しました。
警察署に入ると当然中は警察官だらけです。制服姿の警察官が大勢仕事をしています。
私は以前、仕事の関係で桜田門にある警視庁に入ったことがありますが、入室するのにも厳重なチェックを受けたことを思い出し、再び緊張しました。
エレベータで上の階に上がると、そこには一般人の姿は見えません。警察官だらけの中で「しばらくベンチで待っていてください」と数分待たされました。
そこがどのようなフロアーなのか分かりませんでしたが、みな忙しそうでした。警察には当然休日もなく、24時間動き続けているんだなあとふと思いました。
検察官に呼ばれて検察庁へ行く
さて、さらに後日、今度は検察官に呼ばれ、検察庁に行くことになりました。
今回は「どうしても平日に来て欲しい」とのことだったので、上司に報告のうえ中抜けして向かいました。検察庁に行くのは初めてです。人生初であり最後のような気がします。
部屋に入ると、奥の机に50歳程の検察官が座っており、横に20代と思われる若い検察事務官?が座っていました。
検察官の机の上には事故現場の地図が置いてあり、さらにその現場の信号機が何秒単位で切り替わるのかといった資料も置いてありました。
「事故を目撃したとき、あなたはどこにいたのか」
「衝突した車が赤信号で交差点に進入したと確かに言えるのか」
「この交差点は○秒単位で信号が切り替わる。あなたはこの交差点でどれくらい待っていたのか」
「あなたは信号を見る癖があるのか」
と先日警察署で聞かれたこと以上に詳細な内容を一つ一つ聞かれ確認していきました。
私はちゃんとメモを持参しています。検察官の質問に対してすらすらと答えていきます。
ところがここで、私が予想だにしなかった内容が伝えられました。
検察官:「男性の方は、自分は青信号で進入したので相手の女性が悪いと証言している」
私:まだそんなこと言っているのか…。
検察官:「女性の方も青信号で走っていたと証言している」
私:その通り…。
検察官:「女性はケガをし、精神的にショックを受けている」
私:可哀想に…。
検察官:「あなた以外の目撃者も探しているが、まだ見つかっていない」
私:「私の向かいに女性が立っていたと思いますが」
検察官:「いや、現時点ではあなた以外申し出てくれた人はいないんです。…という訳で、両者の言い分が食い違ったままなのです」
私:「そうなんですか」
検察官:「ですから裁判で証言をお願いします」
私:「えっ、裁判になるんですか!?」
検察官:「男性がそう言っている以上、裁判まで行く可能性があります。私たちが全力でサポートしますので、ぜひ裁判で証言をお願いします。被害者を救うために協力してください」
全く予想していなかった展開に私は慌てました。
検察庁に呼ばれたときは興味半分だったので、まさか自分がテレビの中だけの世界のように感じていた裁判所であのように証言するなど思ってもみなかったのです。
でもここまで来たからには最後まで協力しよう、嘘は許せないという思いで承諾しました。
検察官は「ご協力に感謝します。裁判が決まった場合のみ連絡します。詳細はそのときにまた伝えます」と言い、事件についての話は終わりました。
重要な内容は忘れないうちにすぐにメモ!が効果的
後日、裁判についての連絡は無かったので、男性は嘘を認め罪を償うことを選択したのでしょう。
でも、もしあのとき男性が警察官に嘘の証言をしているのを私が聞いていなかったらどうなっていたのでしょう。私の他にも何人かその場にいたはずなのに、誰も目撃者として名乗りあげなかったので、女性の方にも大きな過失があったという結果になっていたでしょう。
また、あのとき私が検察官に「裁判に協力します」と言わなかったらどうでしょう。私が裁判に出てもいいと言っていると検察官が相手の弁護士または警察官に伝えたことでプレッシャーとなり、結果的に男性はこれ以上嘘をついても仕方ないと思い、罪を償うことを選択したのかもしれません。
事故の目撃日から検察官へ説明した日まで一週間ほどありましたが、目撃した日にすぐ詳細なメモを作っておいたことが、結果的に自分が裁判に出てもいい、自分が見たことは間違いない、という自信に繋がったのでしょう。
これは仕事でも同じですね。私は会議後はすぐに報告書を作成することにしています。
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▼病院を受診するときも病状等をメモして持参することが重要だと思います。
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