仕事のマニュアルの作り方。新人でも全て分かりますか?

みなさんの職場には、どんな仕事のマニュアルが存在しますか。

組織内で働いていると、数年に一度は部署異動があると思います。

業務内容がそれ程変わらなければ良いのですが、全く異なる業務に就いた場合、新人の気分です。

そんな新人の気分で、私が異動直後に受け取ったマニュアルは、たいてい以下の通りでした。

【職員採用業務】

・ホームページやハローワーク等で募集し、面接を行う。

【職員研修業務】

・毎年6月に行う。

・内容と講師は会議で決定のうえ、謝礼を支払う。 

これはあくまでも例として私が作成したものですが、でも本当にこのようなイメージです。

これで一体どうしろと言うのでしょう。

このマニュアルを読めば、この部署の「職員採用業務」と「職員研修業務」について、次の担当者は理解できると本当に思っているのでしょうか。

どんな業務があるのか程度しか分かりませんね。

スマホ等に慣れた現代の子どもが、ドラゴンクエストⅠで説明書に「敵を倒して力をつけ、連れさらわれた姫を救い出し、竜王を倒して世界に平和を取り戻せ」とだけ書いてあるのを読み、必勝本やネット情報も一切無しにゲームを始めるのと同じぐらいの難レベルです。「ロトの鎧」など絶対に見つけられません。「どうしていつも主人公はこっちを向いているの?」「知りません!」

そもそも優れたマニュアルを作れない社員が多い

例えば、このブログを読んでくれている人が新人としてこの部署に配属され、先ほど挙げたマニュアルを渡されたと思ってください。

もちろん書かれていることは何となく分かります。

分かりますが、具体的な仕事のやり方は全く分かりません

結局このマニュアルを片手に、キャビネット内のファイルを次々漁って前回のやり方を真似ていくしかないでしょう。

さらに隣の席に座る同僚等に、一つ一つ内容や手順を聞くことも必要となるでしょう。

それも何度も何度も聞くことが必要でしょう。

私の部署は最低限の人数しか働いていません。

残業があることが前提で成り立っていました。

以前、私の席に座っていた前任職員は顧客対応の部署に移ったため、腰を据えて仕事の話を聞きに行きたくてもなかなか難しい状況です。

しっかりとしたマニュアルがあれば、私の担当する業務に限れば時間を3割削減できました。

マニュアルとはそれほど業務改善に破壊力があるものです。

短期のアルバイトに複雑な仕事を上手く処理してもらっている企業は、みなマニュアルがしっかりしているはずです。

平社員だけど仕方ないので自分でマニュアルを作り始めた

毎回異動の度にこのようなマニュアルを渡されて、私は一人憤慨していました。

そこで、次に異動するときは新人が読んでもよく分かるマニュアルを作成しようと、三十代も終わりの頃に決意しました。

そういえば仕事に対して遅まきながら俄然やる気が出てきたのはこの頃からでした。

職場の非効率さに気付いたからです。

しかし気付くのが遅すぎました。

優秀な社員はとっくに気付いていたでしょう。

私は遅すぎたので、未だに平社員なのです。

ただ、気付いてもマニュアルを作らない上司よりはマシだろうと、一人こっそり自己満足して作成しています。

▼以前に書いた記事です。

【仕組み】昇進試験、また落ちました。(6回目)給料も上がらなくなってきて、モチベーションはどうすれば保たるのか

さて、マニュアルについては、

【超図解 「仕組み」仕事術:泉正人(著)ディスカヴァー社】

を参照に作成しています。

この本の内容を参照にしているため、マニュアルと言うよりもチェックリストの方が近いのかもしれません。

【元の形:職員採用業務】

・ホームページで募集し、面接を行う。

私はこれを以下のように作り直しています。

 【変更後:職員採用業務】

□ ホームページに職員募集を掲載

□ 掲載文書の形式は、〈人事フォルダ〉 → 〈職員募集フォルダ〉 → 〈掲載文書〉を参照。

□ 採用予定人数は退職者数と同数。(上司にも確認すること)

□ 掲載方法は裏面のスクリーンショット等を参照。

□ ハローワーク等への募集依頼(ここでは詳細は略)

□ 面接の準備

□ 履歴書を受領したら都度課長に渡す。

□ 課長から戻ってきたらキャビネットAの②ファイルにしまう。

□ 募集締切を過ぎたら、全ての履歴書を5部ずつコピーし、面接担当に配付する。

□ キャビネットAの③ファイルの面接資料を5部ずつコピーし、④ファイルにしまっておく。

・・・以下、略

こうした詳しいマニュアルの作成により、仕事の処理漏れが起きなくなりました。

さらに、効率的に進めているかどうか、無駄な作業がないかなども一人で客観的にチェックできるようになりました。

丁寧なマニュアル作りがワークライフバランスへと至る

マニュアルは作成するまでに時間がかかります。

業務のプロセスごとに確認しながら作成しているため、業務時間外に一人残ることも多々ありました。

しかし白紙の文面に文字を打っていく途中で、改めて気付かされることも多いです。

・普段何気なく目にしていたこの決まりは、法的に大丈夫なのだろうか。

・この作業自体、長時間かけているが意味があるのだろうか。

・この業務とこの業務の担当は同一人物が進めた方が効率が良いのではないか。

そんなことが次々と疑問に浮かんできました。

マニュアルは共有化する

私は作成したマニュアルを共有フォルダ内に入れてあります。

新人や異動してきた職員以外でも使用してくれる職員がいるので、概ね好評のようです。

せっかく作ったマニュアルなので、利用してくれる人が多いほど効率化が図られます。

私はマニュアルをチェックリストとして常に机の上に置き、仕事をしています。

先ほど挙げたように、私の仕事に限っては時間を3割削減できました。

そして浮いた時間は、じっくりと考える必要のある分野に充てることにしました。

新規業務や業務改善などです。

以前よりも深く考えて提案等が出来るようになりました。

今後も異動するたび、一人でマニュアルを黙々と作り続けようと思っています。

もちろん、これが一人ではなく、組織全体で丁寧なマニュアル作りを行うようになれば、結果的にはかなりの効率化が図れるのではないか。

残業時間が減るのではないかと思っているのですが、どうでしょう。

会社全体のワークライフバランスにも通じますね。

マニュアルについてのおさらい:

1.新人でも分かるよう作成すること

2.職場内で共有すること

3.上司の扱い方までは載せないこと

こんな記事も書きました。

仕事術:優れた仕事をこなす先輩を注視し真似ること(「働く君に贈る25の言葉」佐々木常夫)

飲み会の参加は無駄だと考え断る場合は、普段から多くの社員と雑談をしておこう

仕組み:問い合わせに職場の誰でも対応できるような仕組みを作っておくと有休を取りやすい