仕事ができない上司の場合、部下には3つのメリットがある

 「上司が組織を管理できないんです! 方針が定まりません!」

よく聞く話です。全く珍しくありません。

上司は管理能力があるから出世したわけではありません部下として優秀だから出世したわけです。

もしあなたが何人目かの上司で初めてそのような人に当たったのだとしたら、これまでがラッキーだったと思わなくてはいけません。

あなたはラッキーだったのです。ラッキーマンです。

すぐにチョコボールを購入してみましょう。金のエンゼルが出ておもちゃのカンヅメがもらえるかもしれません。

それぐらいラッキーなことでした。

 

さて、そんな上司も今でこそ部下に陰口を叩かれているかもしれませんが、かつては仕事ができる部下だったはずです。

部下と上司では求められる能力が全く異なります。

命令されたことを完璧にこなしてくる人っていますよね。上司にレポートを頼まれると資料を基にパパパッとキーボードを叩き、あっという間に上司に提出します。周囲からすごいなあと尊敬されます。

でもその人が命令するのも得意かと言うと決してそうではありませんね。人にはそれぞれ得意・不得意があります。

事務処理能力が高い=管理能力が高い ではありません。

「あんな上司の下で働くなんてもう限界だ。転職してやる!」と思っている人は最後にもう一度だけ考えてみてください。

・上司はそのうち異動します。あなたもそのうち異動します。

・「上司は必ず優秀である」という考えは間違っています。

・きっとその上司も苦しんでいます。

そうは言っても、仕事ができない上司の下に付いた場合は不運としか言えません。部下として努力しても全て潰されてしまう可能性もあります。そんな上司ばかりの組織ならば本気で転職を考えた方が良いです。

しかし物は考えようです。仕事ができない上司というのはデメリットばかりではありません。ここではむしろメリットに目を向けてみましょう。

デメリットは変えようがないのですから!

上司が無能だからこそ、3つのメリットもある

①上司になったつもりで仕事を考える

部下として上司が仕事を管理できない様子を常に目の当たりにしています。上司が失敗する、あらぬ方向にすすんでいく様子を常に見ています。

「おいおい、本当にそれでいいのか?」「まあ、他に案が無ければ仕方ないか」そうしたことを心の中で思っているはずです。

そこでもう一歩進んで「あの場合は自分ならばどうしたか?」、「この場合は自分ならばどうするか?」と自分が上司になったつもりで考えます。

上司を反面教師にすることで、上司の失敗を自分の成長の糧にすることができます。

仕事の成功や失敗は書籍でいくらでも学ぶことができます。しかし現実に自分がその場にいた場合の成長度合いは大きく異なります。書籍で学ぶ以上のあらゆる細部まで知っているからです。

上司はあの場でこうして、こういう判断でこう動いた。部下Aは聞いていたのに何も発言しなかった。何故だろう? 部下Bはこうした提案をしたが結局はこうなったのでこう動いた。一つ上の部長は報告を受けてこう上司に指示した。その指示は合っていたのか? 自分はこうなると思っていたので先にこう動いていた。そして最終的にはこうなった。もしあの場でこういう動きがあったならば。

というように、現実に自分の周りで起こったことならば振り返ってシミュレーションできます。ここが書籍との違いで大きな勉強となります。

 

常に上司の視点に立って物事を考えるのは大切なことです。しかし、あなたは本当の上司ではありません。気持ちは上司になりきったとしても本当の上司ではありません。

ドラえもんの秘密道具があればと想像したことは誰でもあると思います。しかし軽く想像するだけにしておいた方がいいことは誰でも分かります。

こんな寒い日に仕事なんか行きたくないなあと思いながら「どこでもドア~!」と勢いよく自宅玄関のドアを開けても、そこから見える景色はマンションの手すりだけで会社までの道のりは遠く、これから乗る満員電車を想像して憂鬱になるだけです。

話が微妙にずれましたが、つまりあなたの方が優秀だとしても、あなたの方が上司より妙案に気付いたとしても、上司のように同僚に命令してはいけません。

私のように同僚からの反発を買います。あくまでも上司に「こういうやり方はどうでしょうか」と提案して、上司から周囲に命令してもらいましょう。

でも気持ちはよく分かります。

②上司に意見を上げやすくなる

上司も自分の上司力が低いことは自覚しているはずです。仕事を失敗している上司ほどそう感じているはずです。

そのため、自分の仕事をチェックしてくれる部下や、様々な提案をしてくる積極的な部下がいたら心強いと思うでしょう。

部下として上司をサポートすることで信頼関係を築けます。信頼がおける部下であれば、部下からの意見も聞いてくれるでしょう。

③出世しやすくなる、かも知れない

上司Aのもう一つ上のポジションにいる上司Sは、Aの仕事力の低さを明確に分かっています。

そこでSはどう考えるか。Aが期待できない以上、部下に注目します。

Aを上手く持ち上げつつ仕事をこなせれば、AにもSにもアピールとなります。そして出世のチャンスとなる、かも知れません。

 

仕事が出来ない上司の下についてしまうのはよくあることです。これは組織の中で働いている以上、仕方ありません。

そのような状況下で上手く立ち回れることも、組織人として重要な能力の一つと考えます。

どう上手く対処していくか自分でできることを考え、デメリットをメリットに変えていきましょう。

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