対応力のレベルアップ「周囲の話や出来事に聞き耳を立て、自分の仕事と仮定して考える」

みなさんの会社ではどんな新人研修をしてますか?

まずはじっくり座学で知識を習得する研修でしょうか?

それともOJTでいきなり「現場へ行きなさい。仕事は現場で学び遂行するものです」というような研修でしょうか?

ちなみに警察や消防署は本気で新人研修をしています。指導ノウハウを確立していない人事部がOJTと銘打って新人をいきなり現場に飛ばしてしまうような研修ではありません。警察や消防、軍隊の仕事というものは一歩間違えると即死ぬ現場です。

例えば新人に対して、

「はい、これ拳銃ね。必要時に使って」

「はい、火災連絡入電。2番の消防車に向かって」

「はい、船にレーダー照射。回避運動して」

こんないい加減な指導はありません。いくら優秀だからと言っても、新人が即判断できる内容ではありません。

テレビゲームでも同じですね。

例えばドラゴンクエストを始めるにあたり、全く予備知識もなくスタートすれば、お金はあるのに武器防具を購入せず、いきなり街から遠出して、スライム(敵のモンスター)の集団に襲われてしまうでしょう。

そうならないためにも、まずは現場に出る前に徹底的に研修を受け、知識を蓄え、実際の状況をシュミレーションし、その職業レベルを上げてから現場に出て行くのです。

そこまで本気で新人研修をしている職場ってどれくらいあるのでしょうか。

以前、NHKの「探検バクモン」という番組で警察学校を特集していました。

講師が新人警官に対し「一般人のそばに刃物を持った男がいる。どう対応すべきか?」と一人に質問しました。

質問された新人警官が回答すると、「その対応方法で相手がかえって激高した場合はどうするのか?」というようにさらに質問しました。

講師は他の新人警官にも同じ質問をぶつけ、他の答えを引き出していました。

そうした問答を繰り返すことにより、その場にいる全員があらゆる可能性を考え学びながら授業が進んでいく、というものでした。

周囲の話や出来事に聞き耳を立て、自分の仕事と仮定して考える

自分のレベルアップを図るにも上記のようなやり方が最適です。

上司(講師)がいないと出来ないわけではなく一人でも出来ます。

まずは自分が行っている業務の棚卸(一覧表作成)を行い、その一覧表を見ながら一つずつ「今のやり方で良いのか」という視点で自問自答してみてください。

また、同僚の仕事のやり方に対して「自分ならばどうするか?」と自問を繰り返すことも効果的です。

すると、自分がしっかり頭で考えて対応している仕事量を1とすると、同僚の事例も我が事のように頭で考えることで1より大きくなり、それだけ多くの対応法を考える、経験することになります。

昔、ゲームセンターで、よく後ろから覗いているだけで自分ではほとんどゲームをやらない友人がいました。

見ているだけで楽しいとか、お金が無いから、などの理由があったのでしょうが、でもあれは他人(同僚)のプレイ(仕事)を客観的に見て経験を積んでいるのと同じです。

この場面では左上から敵が現れる、この場面では右側に移動しておくと後々有利な展開に持ち込める

そんなことを他人(同僚)のプレイ(仕事)で繰り返し学んでいるため、いざ自分が行うときは全くの初心者より遥かに上手くプレイ(仕事)できるのです。

あなたの同僚で優秀な人は、よく周囲の状況が見えていると思いませんか?

よく周囲の話を聞いていると思いませんか?

「それは○○じゃないですかねえ」

それまで黙々と事務作業を行っていた同僚が、突然会話に入ってきたりすることがありますよね。

しらっと仕事をしているようでも、きっと頭の中では会話している同僚の立場に立ち、自分ではどのように対応するのか自問しているのです。

本人は無意識なのかもしれませんが、きっと習慣化できています。

他の社員がクレームを受けているとき、自分ならどう対応するか考えてみる。

他の社員が会議で説明しているとき、自分ならどう説明するか考えてみる。

他の社員が歓送迎会の幹事をしているとき、自分ならどう司会進行をするのか考えてみる。

周囲に人がいればいるほど学べる材料は増すことになるので、加速度的に成長したい人は聞き耳を常に立ててどんどん材料を拾っていきましょう。

一般的に管理職の対応力が優れているのは、単に優秀な人が昇進したからというのも一因ですが、管理職の立場上、複数の部下が直面している状況を把握し、その一つ一つへの対応法を常に考えているからこそ、さらに対応力が磨かれているのだと思います。

平社員の私は基本的に自分の仕事しか行いませんが、私の上司は私をはじめ何人もの同僚が抱える問題への対応を常に考えているのです。

そういえばドラゴンクエストでは、馬車に乗っていて戦闘には加わらない仲間たちもレベルアップしていきますね。

きっと馬車の中から仲間たちの戦闘の様子を見て、自分の経験値としているのでしょう(笑)。

 

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