本の紹介:ホラー小説「リング」の呪いは、ビデオをダビングしても解けない!と勘違いしていた話

私を除く家族がみなインフルエンザA型に感染しました。11月末には皆で予防接種を受けたのですが、思いのほか高熱が出ています。仕方ないので、予防接種をしなかったときに比べれば重症化を防いでいる、とポジティブに考えることにしました。

池上彰氏の「おとなの教養」(NHK出版新書)によると、かつてイタリアでは星の動きの「影響」で病気(インフルエンザ)になると考えられていたそうです。

「影響」をイタリア語で「インフルエンツァ」と言い、さらにその言葉がイギリスに伝わり、私達が現在使っている「インフルエンザ」という言葉になったそうです。

ちなみに英語では「フル」とも言います。

インフルエンザの感染ルートについて

ちょうどサイエンスZEROで鳥インフルエンザについて放送していたので視聴しましたが、そういえば私、そもそもインフルエンザの感染ルートを知りませんでした。

シベリアやアラスカ等で渡り鳥がインフルエンザに感染 → 渡り鳥の体内で増殖 → 渡り鳥からニワトリや豚に感染 → 人に感染

インフルエンザは異国からやってくるんですね。しかし渡り鳥では入国審査もありませんので防ぎようもありません。海外で感染症にかかった人が気付かず帰国した場合、または旅行でやって来た場合も、その人から感染が広がる可能性があります。

そう言えば2009年、メキシコで発生した新型インフルエンザを食い止めるため、成田空港で入国者一人一人にサーモグラフィーの発熱チェックをするやや緊迫したニュース映像を覚えています。

訪日客が年間3000万人を超える(10年前は700万人弱でした)ほど急激に増えている現在、国内でそういった感染症が広がる確率も高くなっているのでしょう。

先程の池上氏の本によりますと、かつてアメリカ東海岸に渡ったイギリス人が体内に保有していた病原菌が原因で、アメリカに元々住んでいた先住民が次々と死んでいったことが実際にあるそうです。

また、第一次世界大戦時に猛威を振るったインフルエンザ(スペイン風邪)は世界中に広がり、感染者は世界人口の三分の一にまで達したそうです。

 ホラー小説「リング」について

さて、話は変わりますが、ウイルス繋がりということで、小説版の「リング」をご存知でしょうか。今から30年程前に鈴木光司氏によって生み出されたホラー小説です。

ある呪われたビデオの映像を見てしまった人は、他者にそのビデオテープをダビングしないと1週間以内に死んでしまうという内容です。

1998年に映画化され、井戸から這い出してきた貞子が(ビデオに映っていた映像)、さらにテレビの中からモニターを通り越して這い出してきて、真田広之を襲うシーンは有名になりました。

「リング」のストーリーを知らない方もいると思うので、おおざっぱにおさらいです。これから「リング」を読む、という人はここまでにしてください。

・知り合いの若者4人が同時刻に心臓麻痺で死亡。

・亡くなった若者のおじである主人公(記者)が事件を追う。

・主人公は4人が泊まったログハウスで謎のビデオテープを発見。

・映像の最後に1週間以内にオマジナイを実行しないと死ぬという文字が浮かび上がるが、オマジナイが映っているはずの肝心な箇所は映像が上書きされていて分からず。

・竜司(友人)に映像を見せ、ビデオテープをダビングして渡し、一緒にオマジナイが何なのか探す。

・主人公のミスで妻と子も家にあったビデオテープの映像を見てしまう。

・ビデオテープに映っていた複数のヒントから貞子という女性の呪いだと判明。

・貞子の白骨遺体を発見し、遺骨を親戚の元に届け、これで呪いは解けたと勘違いする。

・主人公は死ななかったが、竜司は亡くなる。

・ビデオテープをダビングして他者に見せれば本人は死なないと気付く。

・妻と子を救うため、妻の両親にビデオを見せに行こうとする。

今回、「リング」の映画版が放送されていたこともあり、小説版の方も気になって改めて読んでみました。

…怖いです。以前に読んだことあるのですが、やはり怖いです。

さらに今回気付いたのは伏線の張り方。巧過ぎる。主人公たちがオマジナイを探していく途中でこんな出来事もあったのか、と改めて作者を敬しました。

ちなみに知らない人もいると思うので念のため。ビデオテープというのは、機能で言うとBlu-rayディスクの古い形の物?と思ってください。

ビデオをダビングしても呪いが解けない?

ところで実は私、呪いを解く方法は、ビデオをダビングして他者に見せることではないと思っていました。映画版と異なり、小説版ではオマジナイは完全に別の方法だと思っていたのです。

ビデオをダビングするというのはあくまでも主人公や読者を欺くためのトリックであり、本当の解決法は文中の各所に散らばった内容から推理するものだと思っていました。

何故そう思っていたのか、以下にいくつか挙げてみます。右矢印の箇所は私の感想です。

・死んだ4人の若者のうちの2人は、死ぬ直前にカーセックスをしようとしていた(する前だった)。

→ こんな描写がしらっと挿入されている。オマジナイはここから読み取れるのではと勘違い。

・主人公と一緒に謎を解こうとした竜司(高山竜司)は、高校時代から女性を何度も乱暴していると主人公に自慢していた。しかし竜司が亡くなった後、竜司と親しかった女性から、竜司はおそらく童貞であったと告白される。

→ 小説の最後にこんな事実を読者に伝えるということは何かあるに違いない。

・死んだ若者たちは何故4人とも呪いを解くオマジナイを実行しなかったのか、少しは信じていただろう、そもそも実現不可能な内容だったのか、という会話(主人公と竜司)がある。

→ ビデオテープをダビングすることなど簡単にできる。だからオマジナイはダビングではなく、若者たちが出来なかったことに違いない。

・貞子は子どもを産めない身体であった。

→ すると出産に関わることがオマジナイなのか?

・貞子は望んで強姦され、望んで殺された可能性がある、という会話がある。実際、貞子を殺害した相手は呪われず今も普通に生存している

→ 望んで強姦された? しかも自分を殺した相手を憎んでない?

どうでしょうか。こうした内容が所々文中に出てきた結果、私は「映像を見た人でかつ子どもを作っていない人が死ぬ」のだ、と一人勝手に解釈し勘違いしていたのです。そのため、若者のうち2人は死ぬ間際に呪いはやっぱり本当ではないかと思い、怖くなってカーセックスしようと試みるも時間切れ。亡くなってしまったのだと思っていました。

それに竜司が亡くなった後になって、実は竜司は女性を乱暴してきたどころか童貞らしかった、ということを主人公が告白されるシーンもあるわけですし。うーん。

もちろん、上に挙げた内容以上に、ビデオテープをコピーすることが重要だということが文中ではっきりと示されているので、改めて読み直してみると全くの私の読み間違いです。でもそれぐらい伏線も素晴らしいということです。

覚えていますか? 小説版ではこんな内容もありました

・貞子の母は山村志津子と言い、占領軍の兵士が海中に放り込んだ行者の石像を拾い上げたことにより、予知能力等を身に着けた。予知能力の発揮時には柑橘系の香りがした。

・貞子の母は世間からペテン師扱いされ、三原山の火口に飛び込む。貞子はこのことから世間一般に恨みを抱いているはず。

・ビデオテープに映った映像は、貞子が死ぬ間際に思い浮かべた内容が念写されたのではないか。

・貞子を乱暴し殺害した相手は、天然痘に感染していたため、貞子は日本で最後の天然痘患者ではないか。

・貞子は劇団員時代、電源が入っていないテレビに念写しているのを仲間に目撃された。

・貞子は自分を狙っていた(好意を持っていた?)劇団員の創始者を(おそらく)呪い殺した。

・主人公は、熱海駅で竜司が階段を踏み外して転びそうになる姿を目撃した瞬間、柑橘系の香りを感じた。その後、竜司は死亡。

最後の黒丸について、主人公が柑橘系の香りを感じているシーンは一体どういうことなのでしょう。主人公までもが予知能力を身に着け、竜司の身に何かが起きることを感じたのでしょうか。

読めば読むほど奥が深いと感じさせる小説です。結末を知っているホラー小説なのに、夢中で読みふけってしまいました。ホラーが苦手な人は昼間、混雑している喫茶店で読みましょう。間違ってもそこで柑橘系の飲み物を注文してはいけません。

ちなみに映画版の「呪怨2」はもっと怖かったです。

今回インフルエンザについて知ったこと:

1.予防接種を受けていても発症することがある。

2.重症化を防げるとは言っても、熱が39℃ぐらいまで上がることがある。

3.同じ室内でマスクもせず看病していた私は発症しなかったので、私については予防接種の効果ではないかと思う。(あくまでも個人の見解ですが)

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