「二月の勝者」(中学受験マンガ)1巻のあらすじと感想:合格できたのは父親の『経済力』母親の『狂気』

二月の勝者1巻を読みました。中学受験の漫画です。

「『自分は天才』とでも思ってるのか? 

  君たちが合格できたのは、父親の『経済力』そして母親の『狂気』」

塾の先生がドーン!と凄まじい言葉を子供たちに伝えるシーンからこの物語は始まります。

まるで林先生の「今でしょ!」を思い出させるような衝撃的なフレーズです。

高収入の父親、専業主婦の母親

昨年、文部科学省が結果を公表した調査では、

・世帯収入が高い

・母親の学歴が高い

ほど子どもの学力が高くなることが示されました。

当然、収入が高ければ子どもの教育費(塾など)にお金をかけられます。

収入が低ければ、塾代だけで200万円以上もかかる私立中学受験などとても出来ません。

母親が専業主婦の方が子どもの学力は高い

また、林先生によると、

・母親が専業主婦の方が子どもの学力は高い

そうです。

子どもが小学校から帰宅後に母親が家にいることは、勉強において強みとなります。

・子どもは大人相手の会話ができて語彙力等が増す

・子どもに付き添い、宿題や勉強を効率よく教えられる

「高学歴なのに働かない専業主婦なんているのか!」

と突っ込みたくなります。

しかし父親が高収入ならば働かなくても生活できます。

働く理由が収入ではなく自己実現の一つと考えると、子どもの学力を伸ばすというのも自己実現の一つでしょう。

▼私事ですが、昇進試験にまた落ちました。年齢的にも会社的にも高収入はもう無理ゲーでしょう。同期との差は開く一方です。

【仕組み】昇進試験、また落ちました。(6回目)給料も上がらなくなってきて、モチベーションはどうすれば保たるのか

▼林先生が「子供の学力は母親の学歴で決まる」と紹介している記事です。

https://blogos.com/article/339758/(11月18日の『林先生が驚く初耳学!』(TBS系)の紹介ブログ)

文部科学省の調査結果のような例

佐藤亮子さんという方をご存知でしょうか。

子ども4人が全て東大理Ⅲ(医学部)に合格しました。

夫は弁護士で、佐藤さん自身も元高校の英語教師です。

その後は専業主婦として子ども達の勉强を的確にサポートしてきました。

まさに上記の例に当てはまるような夫婦ですね。

佐藤涼子さんの本の紹介

佐藤さんは本を複数執筆されています。

以下の本は末っ子の娘が理Ⅲ合格前の時点なので3兄弟となっています。

東大医学部に入るためにはここまでやるのか!

という視点で色々参考となります。

我が家が真似するには前提条件からして無理ですが、純粋に楽しく読めました。

「子どもの教育でよくないのは、中途半端に父母で責任をシェアして、いざというときに押しつけあうことです。」

気になった言葉です。

受験勉強ではどちらかが担当となり、責任を持つことが大切なようですね。

https://dot.asahi.com/aera/2015071700092.html(AERAdot.の記事)

二月の勝者1巻のあらすじと感想

ここからはあらすじです。

これから読むという方は飛ばしてください。

さて、主人公の佐倉麻衣は2月、塾講師として吉祥寺の「桜花ゼミナール」にやって来ます。

おそらく翌年の2月の中学入試結果をもって物語は完結するのではないかと思われます。

以下は1巻のあらすじです。

佐倉の上司や同僚が言います。(表現等は若干変えています)

「中学受験生のうち、第一志望に受からないのは何割でしょう? 7割です」

東京都の小学6年生の数は約10万人、そのうち中学受験をする児童は約2万5千人で4人に1人」

そんなに多くの子どもが受験してるんですね。

私が小学校の頃と比較すると倍近くになっています。

受験日前の1月30日ぐらいからは、多くのクラスメイトが受験に備えて欠席する異様な光景が見られるわけです。

住んでいる場所にもよるのでしょうが、友人の子が通う小学校では受験率が7割近いと話していました。

改めてあらすじに戻ります。

ある生徒の受験日、雪が降る中、佐倉は塾の生徒の応援のため試験会場に行きます。

朝6時台に最寄り駅に着いたにも関わらず、すでにそこには「フェニックス」というトップ塾の先生が立っていました。

フェニックスはトップ校に6割もの子どもを合格させる大手の塾です。(ズバリ、SAPIXのことでしょう)

先に来て直立不動で立っていたフェニックスの先生は傘を差しておらず、頭には雪が積もっています。

そこに来たのが桜花ゼミナールの生徒。

しかし彼は電車の中で見ていた問題が分からず焦っています。

佐倉に質問しますが、佐倉もその問題の解き方は分かりません。

すると隣に立っていたフェニックスの先生が、自分の塾の生徒でもないのに解答方法を教えてくれました。

自分の無力さを痛感する佐倉でした。

その後、佐倉が勤める桜花ゼミナールの校長は教室の合格実績が悪いため、東京の外れの校舎へ飛ばされてしまいました。

凡人こそ中学受験をすべき:スポーツに関する遺伝率は85%だが学業成績なら55%

代わりにやってきた校長が、あの入試の雪の日、傘も差さずに立っていたフェニックスの先生(黒木蔵人:くろきくろうど)でした。

当時の出来事を褒めた佐倉に対し、黒木は

「仕事ですから。6年生の生徒が一年間に塾に落とす金額は平均150万円。それを考えると雪をかぶることくらい」

と答えます。

また、親の事をスポンサーと呼んだり、新規塾生を金脈と呼んだりしています。

さらに自分の子どもを受験させようか、それともサッカーを続けさせようか迷う保護者に対し、凡人こそ中学受験をすべきと言い切ります。

「サッカー人口は約5万8千人いるが毎年プロになるのは約120人。

よってプロサッカー選手になれる確率は約0.21%。

一方、中学受験で憧れの難関校レベルに合格できる確率は10%弱。

スポーツや芸術音楽など才能がものをいう分野は本当に厳しい。

勉強の方が努力のリターンが出やすい

と説得します。

以下参考

「言ってはいけない 残酷すぎる真実」橘玲:新潮新書より抜粋

遺伝率:学業成績 55%、一般知能 77%、音楽 92%、

美術 56%、執筆 83%、数学 87%、

記憶 56%、スポーツ 85%

この黒木という先生、本心はどうなのか現時点では不明ですが、

上位校合格の見込みのない生徒には夢を見させ続け生かさず殺さず、お金をコンスタントに入れるお客さんとして楽しくお勉強させてください」

とまで佐倉に言い切ります。

一体何でしょうこの先生は。

強烈なインパクトです。

他にもまだ多くの謎を抱えているようですが、物語は2巻へと続きます。

こんな記事も書きました。

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