自分に合う仕事の探し方。子どもの視点で考えてみる

あなたの強みは何ですか?

仕事を始めて5年も経つと、会社内での自分の強み弱みが見えてきているはずです。

例えば、あなたは下記の佐藤さんと田中さんのどちらと能力が近いでしょうか(A>B>C)

  • 佐藤さん:事務C、企画B、管理A

  • 田中さん:事務A、企画B、管理C

個々人が組織の中で協力しあい、それぞれの個性を発揮して大きな仕事を成し遂げるのが理想的な姿です。

社員一人一人はそれぞれ得意分野や不得意分野が異なります。そうした社員をまとめあげるのが上司の役割であり、それぞれの部下の特徴を最大限に伸ばす必要があります。

田中さん(事務A、企画B、管理C)のように「事務が得意だった」というだけで上司になった人は、部下をまとめあげるのに苦労します。

部下であったときは事務を的確に遂行すれば良かったのかもしれませんが、上司の役割は組織の力を最大限に発揮させることです。

そのため、部下のときはいまいちだった人でも、上司になると力を発揮する人(佐藤さん:事務C、企画B、管理A)がいます。組織が力を発揮するのはそんな人が上司になったときです。

こうした普段は目立たない社員の能力を見抜いて出世させることが人事部の仕事の一つです。

ドラゴンクエスト3の職業について

ここでちょっと「ドラゴンクエスト3」というゲーム内容の説明です。知っている方は飛ばしてください。

このゲームの主人公はます初めに仲間を3人選ぶことができます。リーダーも含めて仲間もみな職業というものが設定されており、

勇者(主人公。全ての能力が平均以上)

戦士(体力勝負。魔法は使えない)

武道家(体力勝負。魔法は使えない)

僧侶(体力は低い。仲間の傷を回復させる魔法を使う)

魔法使い(体力は低い。相手を攻撃する魔法を使う)

商人(いるとお金を多く獲得できる)

遊び人(何をしでかすか分からない。ほぼ役に立たない。まれに予想外の行動で成果をあげることがある。レベルが上がることで何故か能力が高い賢者に転職できる)

などの職業があります。

4人のパーティーを組むのですが、「勇者+魔法使い3人」、「勇者+商人3人」のグループを組んでしまうとかなり苦労します。仮に「勇者+遊び人3人」のパーティーですとゲームが全く進まないでしょう。

体力勝負に弱いモンスターや、魔法に弱いモンスターがいるため、バランスを考えると「勇者+戦士+魔法使い+僧侶」といったパーティーがバランスに優れています。モンスターの中には魔法に弱いタイプや、逆に体力勝負が苦手なタイプなどがいるからです。

また、ドラゴンクエストでは転職というシステムがあります。前の職業能力をある程度引き継いだまま別の職業に転職出来るのです。リアルですね(笑)。

理想的な組織は同じタイプの人だけでは作れない

ここからはドラゴンクエスト3における職業を現実の会社組織に当てはめてみます。かなり独断なのでご了承ください。

上司はリーダーシップを発揮すると共にバランスも優れていなければならないので「勇者」です。ただし、現実的にはそんな人はほとんどいないのが問題です。

この文章の一番初めに挙げた佐藤さん(事務C、企画B、管理A)ですが、事務もBぐらいの能力があれば良いと思います。

続いて部下ですが、力任せにガンガン進んでいける体力勝負の「戦士」がいると有難いです。別に体育会系でなくても構いません。真っ直ぐなやる気の問題です。

どうしたって時間を掛けなければ出来ない仕事はあります。やる気があって継続していけばいつかは終えることができます。

組織のバランスを取るなら回復能力のある「僧侶」が一人は必要です。仕事で疲れた社員に気づくと声かけをしたり、意図的に周囲に雑談を振ったりして疲弊した組織を和ませます。

そうした社員が一人も存在しない部署もあると思いますが、いると効果は抜群です。ただしあくまでも後方支援的な立場なので、評価されにくい存在でもあります。評価されないので出世は望めないでしょう。損な役回りだと思います。でも分かる上司には分かります。重宝がられます。

体力勝負が困難な仕事のときは「戦士」ではなく、迂回的な方法で仕事をこなしていくのが「魔法使い」の役割です。

発想が豊かであり、ここだというポイントを探し出して一気呵成に仕事を進めます。一見関連性のない複数の事象を統合して仕事の効率化を図ったり、誰もが思いつかなかった、または気付かなかったような方法で仕事をこなしたりします。ITは「魔法使い」の役割です。

ただし、そうした能力に秀でた結果、仕事が見えにくかったり自由に行動してしまうこともあり、上司がいかに「魔法使い」を使いこなせるか、その能力を最大限発揮させられるかがポイントでしょう。やはり「魔法使い」も上司にはなかなか評価されづらい存在だと思います。

組織の中には基本的に「商人」が必要です。お金の流れを的確に把握し、資金が上手く回るよう常にチェックしています。

部下であっても管理業務を行うため、存在を煙たがられることもあります。しかしないがしろにすると必ず規律が乱れ、最後は他社から信頼されない組織となるでしょう。

組織の中には「遊び人」と言われる存在も少なからず存在します。彼らは仕事をしない(何か原因があって仕事が出来ないのではなく、そもそもしない)ので基本的にいなくても良いのかもしれませんが、仕事の妨害をしないのであれば実は必要なのではないかという気もします。

特に若手社員はそうした社員を見て、自分はああなってはいけないな、という思いを強くするのではないでしょうか。いや、逆に、あのような社員がいるならここは緩くていいなと思ってしまうかもしれません。

「弱み」は努力しても「強み」になることはほとんどない

以上、かなり独断を述べさせていただきましたが、みなさんはドラゴンクエストにおけるどのような職業でしょうか。

自分の「弱み」は努力しても「強み」にはなることはほとんどありません。「強み」を前面に押し出して勝負する必要があります。

細かい管理が苦手な人が頑張って経理(商人)の仕事をしても得意にはなりません

「この仕事は何となく上手くいくことが多いな」、「この仕事は抵抗感なく進められるな」と思った仕事は得意な仕事です。「強み」を活かしている仕事です。

そうした得意な仕事を中心に周囲にもアピールを繰り返せば、これまでより自分に合った仕事を与えられることが多くなるでしょう。「あの仕事ならあいつに任せよう」と。

そういえば今まであまり考えたことはなかったのですが、どうして人によっては会社内で「遊び人」になってしまうのでしょう。

若い頃から周囲に承認されることが少なかったせいか、努力しているのに最低限の出世さえさせてもらえなかったせいか、そもそも生まれ持った性格なのか。

いずれにせよ人事的にも問題があると思うのですが、今のところ私の周りにはいないので詳しくは分かりません。

この文章の最後に「アリの集団の法則」について書いています。働きアリとは根本的に異なり、遊び人は隠された役割を持った遊びアリなのかもしれません。

子どもの将来をゲームで例えてみる

ここまで会社組織の中での「役割」をドラゴンクエストを例に伝えてきました。ここからは子どもの将来に焦点を当てて話していきます。

考え方としてはいたってシンプルです。「あなたの子どもはゲームの中ではどんな職業が合うと思いますか?」

将来どんな子どもになって欲しいかではなく、現在の子どもの特徴から「ゲームの中のどんなキャラクターに近いか」と考えた方が分かりやすいと思います。

ゲームの中にあなたの子どもが入り込んだと考えてください。相手は強大なモンスターです。全ての登場人物が協力しあって戦わないとかないません。

誰もが「勇者」を目指す必要はありません。モンスターと直接的に戦う役割でもいいですし、間接的に戦う役割でも構いません。後方から戦う仲間を援助する役割も必要です。

あなた(保護者)は自分の子どもにはできるだけ特徴を活かして戦わせてあげてください。

子どもの得意分野を親が気付き伸ばす

子どもが小さい場合、将来はこんな大人(職業)になって欲しいと親が一方的に考えてしまうと、どうしても子どもの特徴抜きに考えてしまいます。それでは正しい姿が見えてきません。

運動が苦手な子どもにサッカー選手になって欲しいと考え、クラブチームに入れて英才教育を施したとしても得意にはなりません。スポーツの遺伝率は85%もあります。

もちろんやらないよりはやった方が良いわけですが、例えば走るのが遅い子が努力しても速い子にならないのは誰もが小学生のうちに知っていることでしょう。

足の遅い生徒が超努力してもリレーの選手にはなれない。それでも不得意分野で努力を継続するのか

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/35673?page=5(週刊現代の遺伝についての特集記事)

親なら子どもの得意・不得意や興味のある分野が分かります。不得意な分野を伸ばすよりも得意な分野を伸ばした方が圧倒的に将来有利になります。

明らかに運動が苦手なら運動以外の分野で勝負した方がはるかに勝率は高くなります。

一方、勉強が明らかに苦手で好きではない子どもに勉強ばかりさせるのも効率が悪いです。どんなに勉強させても元々勉強が得意な同級生には勝てません。

例えばゲームの「マインクラフト」ばかりしている子どもに「ゲームばかりしないで勉強しろ!」と怒っても仕方ありません。勉強より楽しいからゲームをしているのです。

それならば発想を変え、保護者が一緒になってコマンドやレッドストーンを学んで実践していけば、その子は気付かないうちに自然とプログラミングに接することになるでしょう。

そうした状況にも関わらず、子どもの将来を考えると学校の勉強ができるのが一番間違いないと考えてしまう親がほとんどではないでしょうか。

大人になれば自分がどんな仕事に向いているのか分かります。人と接するのが極度に苦手ならば人と接しない仕事につけばいいわけです。企画するのが得意だと自覚しているならばそういった仕事につけば良いわけです。

学生時代のアルバイトでも分かると思いますが、やることが多岐に渡る会社員として一度就職してみると特にそれがよく分かります。

向いていないと気付いたら向いていると思われる仕事に転職すれば良いのです。向いていない仕事を一生行うのは辛いですし非効率です。

出来れば子どもが社会に出てから自分で気付くのではなく、保護者が早めに子どもにそうしたことを教えていくのが最も効率が良いでしょう。

アリの集団の法則 8対2

余談ですが、アリの集団では8対2の法則があり、8割のアリはいわゆる働きアリであり、残り2割のアリは仕事をサボるそうです。

ところが、その8割の働きアリを取り除いてしまうと、残った2割のアリの中のうち8割が働きアリに変化します。そして残り2割のアリはやはり仕事をサボるアリのまま変わらないとのことです。

これがそのまま人間社会も当てはまるのかどうか分かりませんが、会社にいる8割の働く社員たちが一斉退職してしまったら、「遊び人」的な2割の社員の中の8割の人が働くようになるのかもしれません。

ちなみに仕事をサボる2割のアリは自由気ままに動いているようですが、そうした行動により8割の働きアリが見つけられなかったエサの場所を偶然発見することもあるそうです。

これが上手くできたアリの社会の生存方法なのではないかと考えられているそうです。不思議なシステムですね。

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